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内緒の話 [無意味的会話術]


M「監督久しぶり」
監「あらまあ、元気なのか」
M「うん、げんきだよ。なんか監督痩せたんじゃないの」
監「痩せたかな、そうかもだな。ダイエット中だし」
M「そーなの。それ以上痩せたらマッチ棒だね」
監「そんときゃ火つけてくれよ」
M「あまり燃えなさそうでいやだわ、しかも臭そう」
監「久しぶりなのに、ずいぶん失礼じゃないの」
M「そういや最近Superflyを推しているらしいじゃない」
監「まー押してもダメなら引いてみなってね」
M「いやそうじゃなくて、高く買っているらしいじゃん」
監「そうなんだよ今度ブルーレイが6000円で出るらしいから8000円で買おうと思って」
M「おーい、そー・ゆー・こと・じゃ・ないんだよー」
監「ボケたら突っ込んでくれないと立場ないから、助かるよ」
M「まーね、ボクって基本的に優しいのよ」
監「で、Superflyがどうしたって」
M「いよいよ監督も若い娘に手を出すか」
監「そうだっけかなー、若いっけ」
M「若いでしょ」
監「オレよりずいぶん若いな」
M「監督と比較しちゃダメだ」
監「Mはいくつだっけ」
M「内緒」
監「あー、じゃだいたい同じくらいじゃないの」
M「なんで内緒でわかるのよっ」
監「だって内緒だろ」
M「まーそーなんだけどさ」
監「だろー」
M「そんな娘に金を出すくらいならボクに投資すれば」
監「やなこった」
M「ケチ」


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退職相談 [無意味的会話術]


M「なんか、ネタがなくなるとボクが出てくるって気がしない?」
監「なんだよ、いきなりネタばらしかよ」
M「真実は隠せないものよ、監督」
監「んまーそうか。そうかもね」
M「それはそーと、最近悩みがあってさー聴いてよー」
監「悩める乙女っていいもんだな、一般的に」
M「そうでしょ、うふふ」
監「いやMじゃなくて一般の話ね」
M「ケンカ売ってるんなら買うわよ」
監「いや売ってないから勘弁してください」
M「ボク、このまま仕事を続けていいかどうかで悩んでて」
監「ちょっと待て、どこかで聞いた話だなそれ」
M「待った方がいいの?」
監「待たなくて結構です」
M「で、今の仕事、なんかボクのやりたいこととは違う気がして」
監「ああ、よくあるパターンかもね」
M「だから辞めた方がいいのか辞めない方がいいのか」
監「自分の人生は自分で決めないとなあ」
M「そうなんだけど、その前の相談よ相談」
監「だけど他にやりたいことがあって、そのための障害になっているんだったら辞めたら?」
M「監督って意外とあっさりしてるのね」
監「んまー他人事だし」
M「なによその言い方は」
監「なにを決断するにしても自分の責任なんだから」
M「そりゃそうね」
監「で、なにを決断するかより、決断したらどうなるのかを予測して比較する方が大事だし」
M「まーそうかもね」
監「てゆーか、人生長いんだから好きなように生きた方がいいよ」
M「それはそうだよね」
監「なにを決断したって人間は大抵後悔するんだから、だったらやりたいことをやればいいのさ」
M「・・・監督に相談しても何の参考にもならないわね」
監「それがオレのいいところだろ」
M「よくわかんないけど、今日のところはそういうことにしといてあげる」



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下品な口のきき方 [無意味的会話術]


M「ああ、眠い」
監「なんだよ、また夜更かしか」
M「監督にとやかく言われたくないわね」
監「つか、オレ早起きだぜ」
M「何時に起きてるの」
監「オヤジ」
M「死ね」
監「まー年長者に向かってなんて口のきき方を」
M「監督との長い付き合いで、ボクはすっかり下品になってしまい・・・」
監「オレはそんな下品な言葉を教えたはずはないんだがな」
M「下ネタはいっぱい教えてもらったわよ」
監「んまー、そんなに下品なのか、オレは」
M「間違いなくそうね」
監「・・・ガッカリ・・・」
M「まーそうガッカリせずに、明日から頑張って生きてね」
監「明日からって・・・今日はどうすんだよ」
M「今日は反省して、ガッカリしてること」
監「はいはい」






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非ラカン的主体について [無意味的会話術]


M「やっほー、監督元気」
監「いやまー普通に」
M「ラカンとか書き始めたわね」
監「昔はよく書いてたけど、今はそれほどでもないな」
M「ええと、なんだっけ。誰だ誰だとか」
監「『デリダは誰だ』だよ」
M「あーそれそれ」
監「現代思想は説明するのがメンドクサイからなあ」
M「だったら書かなきゃいいのに」
監「なんとなく書いておきたくなるんだよなあ。この心理、なんだろうな」
M「なんなの」
監「要は、あいつらって半分意地悪で難しく書いてるところがあるわけ」
M「なんでそんなことするのよ」
監「通常のわかりやすい書き方では、正しく表現できないというのが建前だろうな」
M「なんなのよ、それ」
監「つまり、暗号や、精神分析の患者の言説のように解読されることを前提として書いている、と」
M「そんなことして誰が得するの」
監「書いた人だろ。だからその挑発にオレはつい乗ってしまうというか」
M「つまり監督はアホってことね」
監「まーそういうことか」
M「ふーん。そういや、フィンクが『ラカン的主体について』とかいう本を書いたとか」
監「なな、なんと、その話をしようってのか」
M「すいませーん、無理でーす。えへへ」
監「いやまーラカン的主体って難しいんだよな」
M「どこが」
監「自分じゃない主体がたくさんあるから」
M「自分じゃない主体ってなによ」
監「例えばラカンの言う他者ってのは、無意識にいる自分の中にある誰かの話なんだよ」
M「自分の中にある誰かって誰よ」
監「ぐははははは。たしかにわかりにくいよな」
M「自分の中に他人がいるみたいで、なんだか気持ち悪いわね」
監「言い間違いをしたり、わけのわからない夢を見るってことは、自分のせいじゃないだろ」
M「んー。そうかも」
監「それを、無意識とか他者とか呼ぶわけよ」
M「んー、なんだか騙されたみたいだけど」
監「要するに自分の中に自身でコントロールできない部分があるってことなんだよな」
M「そりゃそうだけど・・・性欲とかのことかな」
監「おまえ、そりゃレディの発言としては相当アレだぜ」
M「あ・・・。忘れてください。」
監「でも、フロイト的にはそれで正解」
M「あっそうなの」
監「まーしかし精神分析の主体って基盤が弱いよね」
M「基盤って・・・黄ばんでるの」
監「黄ばんでるな、きっと」
M「じゃあ気張らないと」
監「うーむシニフィアンの連鎖っちゃーそうなんだけど」
M「なによ」
監「ダジャレの世界だな」
M「たしかに監督の得意ジャンルだね」
監「ラカン的主体は非ラカン的主体へと回帰しないとダメなんだ」
M「なな。いったい何を言っているの」
監「なおかつ非ラカン的主体はラカン的主体とは無関係なんだよ」
M「頭痛くて死にそうだわ」
監「まー自分で言っていて、わけがわからんから」
M「・・・それで『ラカン、わからん』というわけね」
監「おおおおお、素晴らしい。ワンパターンだけど、それがオチだよ」
M「やったあっ」




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不平等 [無意味的会話術]


M「やっほー、監督元気」
監「久しぶり」
M「いやー、最近貧乏で」
監「働いてるんだろ」
M「使う方が多くて・・・」
監「ふーん。預金とかしないの」
M「しない。どうせ貯まらないし」
監「論理的に変だけど、まーいーか」
M「気にしない気にしない」
監「ということは不景気なんだな」
M「そうなのよ、アベノミクスなんとかしてよ」
監「オレに言われてもな」
M「格差の不公平がなくならないと」
監「なんだ。最近へんな思想にはまっているのか」
M「ピケティよ」
監「格差は主観的で数値化しにくいから議論は難しいな」
M「でも格差は格差でしょ」
監「なるほど、ピケティはともかく彼を政治思想に利用しようというのはアレだな」
M「アレって何よ失礼ね」
監「アレはアレなんだからMのことじゃないよ」
M「何を言ってるの」
監「いや何も」
M「だから親類課税をしないと」
監「『累進課税』な。お前大丈夫か」
M「貧乏人から搾取するのはやめなさーい」
監「誰に向かって言ってんの」
M「監督に言うつもりだったけど、監督も貧乏そうだからちょっと遠くの人に」
監「オレは借金があるからな」
M「ボクは街金だけど監督は」
監「オレは住宅ローン」
M「返せるの」
監「返す。当たり前だろ」
M「借金返済なんか貧乏人には無理よ」
監「逆。貧乏だから借金するの」
M「そう言われればそうね」
監「いつもとは違うパターンだな、M。変な集会とか行ったか」
M「ちょっと友達に誘われて」
監「あーじゃあちょっとサヨクか」
M「よくわかんないけど、みんな頭良さげだったわ」
監「貧乏なのは自分が悪くない場合がほとんどだけど、別に不平等じゃないし」
M「生まれで差別されるのは不平等よ」
監「不平等だと思うなら何でも不平等だぜ」
M「そんなことない。不平等」
監「そんなこと気にして生きてたらオモシロくないな」
M「オモシロくないのも不平等のせいで、だから政府がみんな悪いの」
監「ぐはははは、その前に、他人のせいにしていいことと、していけないことを分けないとなあ」
M「監督も一緒に行こうよ」
監「ケンカ売りたくなるから、やだ」
M「ねえねえ行こうよ」
監「もしかして、Mって、ケンカが見たいだけなのか」
M「あら、バレちゃった」
監「今どきのサヨクと戦っても得るものが少ないから」
M「そうなの」
監「でも、ジジェクみたいのが目の前にいれば、すぐ入党でもなんでもするけどな」
M「あららら、さっきと話が違うじゃない」
監「日和見主義ってのはそういうもんだよ。右とか左とかどうでもいいの」
M「ボクは真ん中がいいなあ」
監「まあイヤラシイ」
M「なんでイヤラシイのよ」
監「さあ」





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複数するは我にあり [無意味的会話術]


M「なんなのよ、あれは」
監「あれってなんだっけ」
M「『単数にゴン』とか書いたでしょ」
監「ひえーっ、よく見つけたね」
M「真面目な文章なのにどうしてふざけるのよ」
監「どうせ誰も読んでないと思って、つい」
M「つい、じゃないのよ」
監「そんなに怒るなよ」
M「真面目に読んでいる人がふざけた文章を喜ぶわけないでしょ」
監「申し訳ございません」
M「謝って済むなら警察は要らないわよ」
監「いや面目ない」
M「だいたい監督のは昔から真面目だかふざけてんだかわからない文章ばっかりなんだから」
監「いや昔の話をされても」
M「書いたものには書いた人の責任があるの」
監「金をもらって書いたわけじゃないからいいじゃん」
M「よくないのよ、人を不快にさせたら罪なのよ」
監「猥褻物陳列罪みたいなものか」
M「いやよくわからないけど」
監「オレの文章は猥褻物か」
M「まーイヤラシイ」
監「オレは全身性器か」
M「バッカじゃないの」
監「どうせバカだよーん」
M「開き直ったわね」
監「しかし、単数に対して複数をぶつけるってすごいよな」
M「なんですごいのよ」
監「だってそれは微分じゃなくて積分だからね」
M「何の話か分からないけど」
監「つまりスキゾじゃなくてパラノってことだろ」
M「何の話よ」
監「浅田先生の解説のようには、単純に行かないってことさ」
M「浅田先生ってあのゲイの」
監「失礼だな君は、それは浅田先生の芸だよ」
M「もはや会話不能ね」
監「単数の不能には複数の不能をぶつけると」
M「そうするとどうなるの」
監「人類が絶滅するってことかな」
M「不能だから絶滅するという理屈ね」
監「ところが単数の絶滅に複数の絶滅をぶつけるわけだ」
M「ぶつけたらどうなるの、てゆーかぶつけてどうすんのよ」
監「もうこうなったら、単数の『どうすんのよ』に複数の『どうすんのよ』をぶつけてしまおう」
M「監督、もういいわ。それがオチってことにしましょう」
監「・・・そうだね」





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元気がない [無意味的会話術]


M「なんだか辛気臭い話になっているわね」
監「あら、またビミョーなタイミングで登場だね」
M「漆黒の闇とか暗い話になってきたからボクのようなカワイイ娘が必要かと」
監「カワイイねえ、そんな歳だっけ」
M「ちょっと、一回死んでみたいようね」
監「いいえ、充分にカワイイと思います。ずっと前からそう思ってました」
M「ウソでしょ」
監「はいウソです」
M「まったく監督は正直なんだから」
監「いやー浮世に生きるのに向いてないよね」
M「いや逆に向いてるんじゃね」
監「そいつはどーも」
M「で、漆黒の闇をどうするのよ」
監「別にどうするつもりも」
M「闇の中に仕事人が登場して、悪いやつらをやっつけるとか」
監「藤田まことがいないからなあ」
M「東山でいいじゃん」
監「ヒガシは大岡越前だろ。お奉行様が裏で必殺はまずいでしょ」
M「いいのよ、カッコいいし」
監「ふーん、ああいうのが好きなんだ」
M「見た目が良ければ何でもいいの」
監「もういい歳だけどな」
M「監督は老人だけど」
監「そうそう老眼と痴呆が進んで大変なのよ・・・」
M「あら、いつもと違って元気がないわね」
監「なんだか疲れがとれなくてね」
M「歳なんだから気をつけないと」
監「気を付けてはいるけど」
M「こんなにいい女が近くにいるというのに」
監「え、どこに」
M「・・・いるというのに」
監「はいはいおっしゃる通りでございます。そんなに睨むなよ」
M「・・・いるというのに」
監「どうしたんだよ、涙目じゃん」
M「へっへー、ボクの演技力も捨てたもんじゃないわ」
監「あくびしたのかと思った」
M「・・・やっぱり殺す」







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戦争反対 [無意味的会話術]


M「ねえねえ監督って戦争反対でしょ」
監「戦争の反対は『争戦』だ」
M「なんなのよ、賛成なのか反対なのかって訊いてんの」
監「酸性の反対はアルカリ性だ」
M「ちょっと、真面目に答えてよ」
監「断固として戦争反対です」
M「よろしい」
監「てか、どうしたんだ」
M「では、戦争反対の人はここに署名しなさい」
監「あれ、またピケティの関係なのか」
M「さあね、教えてあげない」
監「署名してもいいけど、オレは集団的自衛権には特に反対でもないよ」
M「それじゃー戦争賛成じゃん」
監「そんな単純な二者択一で決まるような話ではないだろ」
M「どっちかはっきりしなさい」
監「はっきりできない話なんだよなあ」
M「なんでよ」
監「もっと言うと軍隊を持つことと戦争に反対することは矛盾しないよ」
M「そうなの」
監「てゆーか、世界のほとんどの国が軍隊を持っていて、かつ平和主義だろ」
M「そういえばそうかも」
監「厳密に言えば平和主義は表向きに過ぎないけど」
M「じゃーダメじゃん」
監「でも戦争に賛成しているわけではないだろ」
M「まーそうね」
監「要するに、そんな二者択一で収まるような単純な話ではないってこと」
M「そうかしら」
監「短絡論法というか、ニューロンの使用を否定するような話になっていてさ」
M「なんだかボクがバカだと言っているようね」
監「否定はしないけど、Mだけじゃないから」
M「あ、今ボクのことをバカと言ったわね」
監「そんな恐ろしいことは言いません」
M「でも、『戦争賛成か反対かはっきりしないと』という感じで話す人が多いわよ」
監「それはロジックというより説得レトリックみたいなものだろ」
M「なんなのよ」
監「まー詐欺師の巧みな言葉遣いというか」
M「そうなの」
監「いや一般ピープルはそんな話でも別にいいんだけどさ」
M「いいわけないわよ」
監「いわゆる文化人というか評論家クラスがそんな話をするもんだから呆れる」
M「どうして」
監「前提で単純な二者択一を迫るので、議論以前で」
M「ふーん」
監「そうすると『平和』という言葉自体も薄っぺらくなってさ」
M「薄くないでしょ」
監「中身のない錦の御旗みたいになってて」
M「そんなことないって」
監「麻雀だと出アガリは三十符で1000点。積もると二十符でヨンナナ」
M「何の話よ」
監「平和ってのは本当はもっと意味のある言葉なんだけど」
M「監督にとってはそうじゃないってことね」
監「残念ながら特定の政治思想に利用されているだけになっていて」
M「そうなのかしら」
監「いやもう昔からそうだからどうでもいいっちゃあ、どうでもいい話だし」
M「よくなさそうな話なのに、諦めるのね」
監「『平和を浪費する』とは、よく言ったものだ」
M「誰が言ったのよ」
監「右も左も、ただひたすら単純論法で、メンドクサイ」
M「やる気ないってことね」
監「リーヅモピンフドラ一でイチサンニンロク、親だとニンロクオール」
M「やる気がないのは、よくわかったわ・・・」





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観てないのに偉そうにプロレスを語るな [無意味的会話術]


M「最近プロレスの話ばっかりじゃん」
監「そうだな」
M「そんなにプロレス好きだっけ」
監「まあ結構好き」
M「あんなの八百長じゃん」
監「いやそれは違うよ、彼らは真面目に仕事をしてるんだ」
M「そうなの」
監「逆にガチンコを客に見せてはいけない」
M「まーイヤラシイ」
監「なに言ってんの」
M「いいの、なんでもないの・・・」
監「スポーツエンタテイメントとかスポーツ芸術とかいう人もいるくらい」
M「じゃあ会場で観てるんだ」
監「ところがサッパリ。最近だとカッキーエイドくらい」
M「ふーん、観てないのに偉そうにプロレスを語るなって言われるよ」
監「まあ、それは手厳しいご意見」
M「そりゃそうでしょ」
監「定期的にみてるのは深夜の新日放送くらい」
M「ダメじゃん」
監「あとはハンセンのDVDとか」
M「聴いたことあるわね」
監「新日対UインターのDVDとか」
M「それってオモシロいの?」
監「20年前の映像だけど抜群にオモシロい」
M「まだ売ってるんだ」
監「新日のヤツは持ってるけどUインターのはダイジェストしか」
M「ふーん」
監「今は、昔の裏話が語られやすい環境になっていて」
M「あら」
監「そういうのを読むってのもいいよね」
M「そんなに出てるの」
監「まー専門誌ではない雑誌に断片的に載ってるから、そういうのを見つけたり」
M「マニアックね」
監「そういう意味ではアイドルの追っかけと似たようなところはあるかも」
M「監督ってアイドルの追っかけやってたの」
監「やるわけないじゃん」
M「まーボクがアイドルってことで」
監「あら、随分強気なご意見で」
M「文句あるの?」
監「まったくございません」






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反権力とニュウトウ [無意味的会話術]


 友人との会話。

友「反権力ってのはアンチ巨人みたいなもんだろ」
監「それがカッコいい、と思っちゃうんだろうね」
友「巨人なんて、金遣いの割にはそれほどの球団でもないのに」
監「そうそう、アンチ巨人と一緒で、反権力って構造的に『権力』を支えている意味もあるし」
友「誤解だよな」
監「いやむしろ六階くらいでしょ」
友「アホか」
監「ある意味、オカルトみたいなものかと」
友「まー反権力って言っていれば、あとは考えなくてもいいし」
監「・・・悪いけどオレはそこまで言ってないから」
友「そうやってすぐ逃げる」
監「オレは日和見主義者だから」
友「ああそうだったな、忘れていたよ」
監「権力の問題は、私腹を肥やすことだろ」
友「そうそう」
監「あと、国家装置でいうと抑圧装置よりもイデオロギー装置の方が厄介なのにねえ」
友「まるで左翼的な発言だな」
監「左右は別にどうでもいいんだよ」
友「頭が悪いのが一番困るってことだろ」
監「それって結構差別的な発言だな」
友「いいんだよ、オレは左翼じゃないから」
監「またまた、元左翼の癖に」
友「なんだと」
監「ヘルメットの色は」
友「『ニュウトウの色は』と訊く鶴光みたいな言い方はやめなさい」
監「オレは特定の団体には入党してないよ」
友「・・・いやそのニュウトウじゃないんだけど」
監「それでは新郎新婦による初めての共同作業、ウェディングケーキの入刀です」
友「・・・だから違うっちゅーの」
監「オレはピンク」
友「ウソつくな・・ってなんの話だ、ヘルメットかニュウトウか」
監「昔のことは忘れました」
友「・・・そうだな、オレも忘れたよ」




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アガルマ [無意味的会話術]


M「やっほー監督久しぶり」
監「なんだよ、生きてたのか」
M「それはこっちのセリフよ」
監「まさか結婚したとか」
M「グサッ。監督って相変わらず乙女心を理解しないのね」
監「乙女じゃないからな」
M「でも意外と乙女だったりするのよね」
監「実は乙女だからな」
M「(聴かない振り)・・・で、アガルマって何よ」
監「なんだよ突然」
M「いやアガルマって何って訊いてんの」
監「説明がメンドクサイ」
M「いいからボクに分かるように説明しなさい」
監「それが一番めんどくさいんだよな。だからパス」
M「パスは禁止です」
監「なんと、こんなところに喋るルールブックがいたとは」
M「知らなかったでしょ。とっとと答えなさい」
監「一言でいうと対象a」
M「は? それは何なのよ」
監「んまー要するに勘違いだな」
M「勘違い?」
監「宝物だと勘違いさせるような、人によってはあまり意味のないモノ」
M「さっぱりわからない」
監「わかったところで人生は豊かにならないよ」
M「いいじゃん教えてくれたって」
監「昔ソクラテスという哲学者がいて」
M「その人、聞いたことがある」
監「で、アルキビアデスってのがソクラテスに恋していたと」
M「え、男同士?」
監「いや普通なんだよ、あの時代のギリシヤでは」
M「なんだか楽しそうだね」
監「でも実のところアルキビアデスは、『ソクラテスが好きだ』と勘違いしてたんだ」
M「なんで」
監「本当に好きなものをソクラテスの知識や言葉の中にあると勘違いしてたってこと」
M「ふーん」
監「そんな知識や言葉によって勘違いされたものをアガルマっていうんだ」
M「そうなんだ」
監「で、実はソクラテスは自分の言葉とか知識にはさほど興味がなかったというか」
M「頭良さそうなのに、変なヤツだね」
監「もっと詳しくいうと転移といってさらに話がヤヤコシクなるので省略」
M「なんとなく分かったような気分になったわ」
監「この話の教訓は、アガルマっていうか、知識自体にそれほど価値はないってことかな」
M「じゃあ何が価値なのよ」
監「『無知の知』って言うじゃん」
M「ああ、世の中には知らない方がいいっていう、闇の世界とか・・・」
監「違うよ、惜しいけど」
M「違ったっけ」
監「自分が何でも知っていると思った時点で向上心がなくなるからダメってこと」
M「あ、そっちね」
監「そうそう」
M「で、その男同士の話はどうなったの」
監「それっきりじゃないのかな」
M「なんだつまらん」
監「素晴らしい、このブログは『たいくつ』だから」
M「ああ、それがオチなのね」




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思想とかそういうヤツ [無意味的会話術]


S「よ、監督」
監「なんだよ、哲学科出身のサラリーマン、Sじゃん、久しぶり」
S「最近メイヤスーを読んでるって聞いたけど」
監「読んでるっつーか、表面なめてるだけ。まったく深くない」
S「で、どう思う、メイヤスー」
監「まー頭のいい人だよね。たぶん間違っているけど、論理の筋道が巧みで説得力はある」
S「間違っているか・・・それって勘で言ってるでしょ」
監「もちろん。そして彼は間違っていることを知っていて、相関主義批判を主張してると思う」
S「やれやれ(根拠はないくせに・・・)。で、相変わらず立場はジジェク派なの」
監「いやいや元々オレはヴィトゲンシュタイン」
S「そうだっけ」
監「でも、つまんねーから外向きにはジジェクってことにしてる」
S「ラカンもだろ」
監「いやラカンは完全に精神分析の人で思想系の人じゃないから」
S「なんだよ、大学のディスクールではないってことか」
監「一応そういうことにしておかないと、ラカンの立場がないだろ」
S「そうするとデリダがかわいそうじゃん」
監「いいんだよ、デリダは解っててやってんだから」
S「しかし、メイヤスーなんて流行りもの、珍しいじゃん。ブームは終わった感じだけど」
監「流行ってるかどーかは知らねーけど、課題図書なんだよ」
S「ああ、あそこの・・・」
監「まあね。Sなんかはメイヤスーとかの思弁的実在論はどうなのよ」
S「完全に範囲外。でも趣味に合ってる」
監「ポストモダン的な相対主義が一通り終わって、次は何かって色々と蠢いてるわけでしょ」
S「つーか、スターがいないよね。現代思想の1月号が毎年ひどくて笑うしかない」
監「ああそうか。スターがいないから一時期バディウとかがアップされたりして」
S「そうそう。ひどいもんよ。バディウだって結局昔ながらのマルクス主義のオッサンだぜ」
監「いや、まだフロイトとマルクスの神通力はあるよ。21世紀中は持つね」
S「そうかなあ。フランスでダメになったらお終いじゃないの」
監「いやいや、いったんアルチュセールが上下構造を複雑化した関係でしばらく大丈夫」
S「そんなもんかね」
監「政治学としてのマルクスはダメでも、反権力思想の最後の砦だし」
S「ああ、大学関係者は基本的に反権力ってのは万国共通か」
監「しゃーないね。大学で右翼やっても学生受けしないから」
S「で、メイヤスーに戻るけど、祖先以前的ってどう」
監「あれ、ずるいよなあ。でも論点は面白い」
S「今まで議論されていなかったよね」
監「あの思考実験的な発想は分析哲学的だね、クリプキとか」
S「科学を味方につければ思想的に勝ちって判断だろ」
監「だからSの趣味ってわけか」
S「監督みたいにオカルト趣味じゃないから」
監「よく言うよ。しかし、どうしてメイヤスーは科学的実在論じゃダメなのかなあ」
S「お、さすがによくツボを押さえてる」
監「つーか、オレは正確な論理性よりザックリとしたジャンプの方が楽しいし」
S「それは哲学的な姿勢とは言えないぜ」
監「だってオレは哲学者じゃないもん」
S「逃げたな」
監「逃走論者と呼んでくれ」
S「全然違うだろ。でもカント以降の認識論を相関主義でひとくくりにするのもなあ」
監「んーまー違和感はあるけど、発想はいいと思うよ。それくらいじゃないとさ」
S「それくらいやらないと新しい時代の思想とは呼ばれないってことか」
監「あと、メイヤスーは『全体性』という発想を否定してるんだよね」
S「彼の場合は事実性が偶然性に基礎づけられてるから」
監「だから全体性という発想はないと」
S「ポストモダン以降なら誰にもないだろ」
監「そうなんだよな。だから排中律が使えなくなって面白くないんだよ」
S「おいおい、排中律を認めると否定神学につながるから」
監「いやオレ否定神学肯定派だから。極論言うとプレモダンでもいいと思うし」
S「東浩紀肯定派じゃなかったの」
監「郵便的の結論以外は肯定って意味」
S「相変わらず言ってること、よくわからないけど」
監「で、結局メイヤスーの思想ってポイントはなんなの」
S「まずは存在ってのは述語的要素じゃなくて前提ってことから始まる」
監「いきなり何だよ」
S「いやカントの話ね」
監「えーと、思い出してきたぞ、純粋理性批判の神の存在証明ってヤツか」
S「神が存在しないと仮定すると矛盾するから神は存在する、と」
監「それが第一段階」
S「次にカントは、神が存在しないということ自体が言えないので、存在証明にならない、とする」
監「おお懐かしいな、その変な論理」
S「だから神の存在論的証明は、それ自体では不完全ってことになる」
監「なるほど」
S「で、次に、神がダメなんだからモノ自体の存在証明なんかもっと不完全ってことになる」
監「まだカントの話ね。モノ自体の存在に必然性はないと」
S「そこでメイヤスーは存在を考える際に、必然性を引きはがそうとする」
監「そこが胡散臭いとこの一つだな」
S「彼は存在の必然性を排除して、モノ自体の絶対性だよって言いたいわけ」
監「なるほど」
S「さらには監督が訂正しなければならないのは、メイヤスーにとって相関主義は亡霊だってこと」
監「亡霊?デリダの(東浩紀の)幽霊みたいなものか」
S「そう。物自体から必然性を引きはがしても、それは亡霊の形で残るって意味」
監「へえ」
S「亡霊は宗教とか誘発しかねないので、メイヤスーは絶対性とか事実性とか置こうとしているわけ」
監「マジメな人だねえ」
S「だから、メイヤスーの事実性、絶対性の話では、相関主義はほとんど残ってないんだ」
監「なるほど、それは訂正するよ」
S「あと、相関主義がダメだってことは、発想の根本に懐疑論を持ってきたってことだと思う」
監「結論から導くわけだ」
S「で、単なる形而上学や独断論でもダメってことだよね」
監「うんうん」
S「そうすると、メイヤスーの実態は懐疑論と素朴実在論の組み合わせってことになる」
監「げっ、マジか」
S「相関主義を徹底化すれば、物自体の無矛盾性やその存在さえも思考不可能って話だから」
監「そういう論理で懐疑論的でかつ実在論と」
S「いや専門じゃないんで、オレの個人的な考えね。そう考えると理解しやすい」
監「でも素朴実在論は否定されてるじゃん」
S「いやそれを否定したのは相関主義だよ」
監「あ、なーる。そういうことか」
S「あと、相関主義には強い弱いとは別に、絶対性と有限性の区分もある」
監「ふんふん」
S「で、メイヤスーが敵と考えているのは有限性の相関主義で、絶対性の相関主義ではない」
監「絶対性ってのは、神ではないけど神の精神みたいなのを想定するニーチェとかドゥルーズか」
S「そうだね」
監「あとヘーゲルの弁証法的精神も入るか」
S「弁証法というと微妙だけどそうなるかな」
監「ふむふむ」
S「ちなみに、さっき言った亡霊ってのは、強い相関性で否定された物自体のこと」
監「相関主義が亡霊じゃなくて、物自体がってことか」
S「つまり、絶対性の相関主義には亡霊はいないってことになる」
監「なるほどね、むしろ表象の側にいろんな要素を取り込んでいますよと」
S「いずれにせよ絶対性の相関主義は、メイヤスーによると相関主義から除かれるんだ」
監「ん? じゃあメイヤスーにとってはカントとヘーゲルの間に断裂があるってことだ」
S「そういうこと。ヘーゲルは相関主義ではなく、『主観主義的形而上学』に属するから」
監「主観主義なんちゃらが絶対性の相関主義ってことね」
S「そうそう、興味深いことにメイヤスーは、それを相関主義と見てないんだ」
監「ええと、要するにポイントは相関主義への懐疑論と、物自体の実在論・・・だよね」
S「正確に言うと『もう既に素朴じゃなくなった新しい実在論』てことだけど」
監「もう既に子供じゃなくなった新しい女子高生みたいなものか」
S「すぐ下ネタに持ってくんだから」
監「オレはブレないよ、昔から」

註 このブログはフィクションで、実在の人物や団体などとは一切関係ありません





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脱存在論とかそういうヤツ [無意味的会話術]


監「メイヤスーを『懐疑論と素朴実在論の組み合わせ』と一刀両断したS君、こんにちは」
S「なんだよ、その紹介」
監「あのあとしばらく、『素朴実在論と言ったけど大丈夫かな』と不安がっていたと」
S「そういう内幕を表に出してはいけません」
監「超自我が『暴露せよ』と言っているわけで」
S「誰もそんなこと言ってないよ、超自我も言ってない」
監「いやしかし、それほど間違った話ではなかったね」
S「アバウトでザックリで、というのは監督の影響だな、反省しよう」
監「いいんだよ、浅田センセもメイヤスーを一刀両断していたし」
S「『人間は死んだ』とか偉そうに言っているのと一緒だと」
監「でも、不完全な相関主義を補完するために実在論を対置するという発想は良いと思う」
S「なんなの、その掌返しみたいな」
監「物自体をどう捉えるかってのはいろいろな角度で議論があってもいい」
S「その気持ちは少しわかるけど」
監「つまり理解できないと」
S「どちらかというと、理解不能の側」
監「メイヤスーの哲学史的な意義は認めているわけよ」
S「相関主義で大括りするってのは、そういうことだけどね」
監「思考と存在は別々で、無関係だけど、一緒に考えることは可能だ、と」
S「それを矛盾と捉えるか、正しい現実認識と捉えるかでメイヤスーの評価が変わる」
監「ただ、実在を捉えるのに必然性じゃなくて偶然性ってのはね」
S「必然性だと論理的な手続きになるけど、メイヤスーは、そこは全然違うよと」
監「実在は機械的と言ってもいいような偶然性で、人間の関与は関係ない、てな感じかな」
S「表象自体が偶然性ではないよ、って話の方が納得できるんだよな、個人的には」
監「お、出たな。それはドイツ観念論だろ。いつから宗旨替えしたんだ」
S「いや、メイヤスー批判で真っ当なものの一つがガブリエルだから」
監「さすが、いろいろ読んでいるのね」
S「他に趣味はないし」
監「マジかよ」
S「悪かったな」
監「ガブリエルってジジェクとの共著しか翻訳されてないよね」
S「そうね、有名なのは『なぜ世界は存在しないのか』ってヤツ。ベストセラーなのに」
監「なぜ翻訳がないんだろう」
S「面倒なんだろ」
監「ついでに訊くけど、なぜ世界は存在しないんだよ」
S「世界をどう捉えるかという、立ち位置の問題でもあるな」
監「てっきり『世界』という言葉の問題かと思っていたけど」
S「それもあるけど、思考は存在の中で展開されるわけで」
監「来たよ、やっぱりドイツ観念論じゃん」
S「個人的なブームなのかも」
監「つーか、ポスト・カントだな」
S「『自分』を限界まで拡大していくフィヒテと、『他者』に寄生するヘーゲルやシェリング」
監「『寄生』かあ、そりゃまた大胆な言葉遣いで」
S「どっちつかずの二項対立をどう克服するのかってのは、当時の大きな課題なんだよ」
監「てゆーか、カントがそう考えないと後の連中が続かなかったんだから」
S「そうそう。で、思考は存在の中で展開されて、結果として存在が見えなくなる」
監「表象というか思考の中に吸収されていく、と」
S「存在が思考の中に吸収されてしまうから観念論だよな」
監「ポイントは吸収されるってことで、決して捨象されるわけではない」
S「最近『精神現象学』を読んだろ」
監「がーん、なぜ分かる。超能力者か」
S「いつから超能力者じゃないと思っていたのかな」
監「いや、そんなこと言っても騙されないぞ」
S「騙されない者は彷徨う」
監「それってラカンじゃん」
S「逆に言うと騙される者は彷徨わない」
監「で、現代人は、騙されると分かっていてもワザと騙される」
S「頭で理解していても、そうしない。行動が全てというわけ」
監「なるほど」
S「で、わざと騙されることで、彷徨わないようにするつもりが・・・」
監「結局、彷徨うということね。それが現代的主体の現状ってわけだ」
S「で、カントは物自体と現象(表象)を倫理的自由ってことで統合しようとした」
監「なんだよ突然」
S「カントは突然でいいんだよ」
監「わかったよ」
S「つまり純粋理性での行き詰まりを実践理性でフォローした、と」
監「でもあれは尻拭いになってないだろ」
S「認知能力の限界を道徳的理性でフォローってのは筋違いってことね」
監「昔からそこは納得いかないのよ」
S「現象的な実在性と物自体の実在性をどうやって同列に扱うかという問題だよな」
監「そんな言い換えすらも、なんとなく言い逃れっぽいな」
S「そう突っかかるなよ、結局は時代背景なんだから」
監「んー、まーいいとするか」
S「で、カント以降の観念論は、その自由もまた思考の内部に捉えようとする」
監「ああ、そうこうしているうちにジジェクお得意の狂気論に行き着くわけだな」
S「シェリング論のヤツね」
監「ジジェクの『仮想化しきれない残余』」
S「おっと、あれ、読んだのか」
監「大昔に」
S「なるほど」
監「ときどきオレが『唯狂論』とか言いたくなるのはその影響かも」
S「それはたぶんそうだね」
監「でも『仮想化しきれない残余』というより、ただ単に『割り算の余り』なんだろ」
S「御名答」
監「オレの割り切れないモヤモヤも何とかして欲しいものだ」
S「無理だろ」
監「一刀両断だな」
S「去勢ってことで」
監「うひー、それが今日のオチですか」







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マルクス・ガブリエルとかそういうヤツ [無意味的会話術]


監「メイヤスーを『懐疑論と素朴実在論の組み合わせ』と一刀両断したS君、こんにちは」
S「しつこいねえ。まだそれを言うか」
監「いやいや、最近ますますSの説が正しいと確信しているわけで」
S「あら、それはありがとう」
監「単純な図式で言うと、カント以前は素朴実在論だったと」
S「単純化し過ぎだよ」
監「まあまあ。で、カントからポストモダンまでが相関主義だと」
S「『構築主義』とも言うけどね」
監「で、ポストモダンの先が、M・ガブルエルによると、新実在論だと」
S「その図式で考えるなら、メイヤスーは素朴実在論へと戻って相関主義を否定した」
監「だよね」
S「で、ガブリエルの立場はポストモダン以降の本当の潮流を作った・・・という構図かな」
監「そうそう。そして、その構図にも、実は疑問の余地がある」
S「そうだな」
監「ガブリエルって基本は後期シェリングなんだろ」
S「その通り」
監「だから、キルケゴールの実存的なものに至るのは自然な流れだよね」
S「それが新実在論に至る動機というかきっかけだというわけね」
監「枠組みを拝借したというか」
S「ある意味パクった」
監「で、メイヤスーの思弁的実在論は、結局観念論的だと」
S「ああ、ガブリエルの主張では、メイヤスーはヘーゲル的ってことね」
監「そうそう。で、自分の説は後期シェリング的だと言いたいわけだろ」
S「だから実在論と言っても、色々立場の違いがあって、一括りにできないよな」
監「ガブリエルの評価は『ドイツ哲学の逆襲』みたいなノリもあるみたいだし」
S「ゲルマン魂は死なず・・・か」
監「サッカーのワールドカップになると突然民族主義が高揚するみたいな」
S「確かに、今のヘーゲル研究の主流はアメリカだから」
監「ただガブリエルの新実在論って本当に実在論なのか、という疑問は残る」
S「言葉は変だけど言いたいことは分かる」
監「だって、観察する人がいないと存在を認めないという立場だろ」
S「確かに相関主義というか構築主義と、どう違うのか、その違いが明解ではない」
監「さすがSはよくわかってるね」
S「メイヤスーが素朴実在論に戻ったというなら」
監「うんうん」
S「ガブリエルはポストモダンの枠の中にある」
監「がーん・・・マジかよ」
S「いや極論だけどさ」
監「極論とはいえ」
S「別の言い方をすると、素朴実在論も構築主義も含めたものが新実在論ってことかな」
監「ああ、そういう見方の方が分かりやすい」
S「結局ガブリエルは自然科学的な見方は数ある『意味領域』のひとつに過ぎない、って立場だし」
監「それだと、ポストモダン的な相対主義的な発想との差別化ができない」
S「まー、そういうことでもいいか(相対主義とは少し違うけど)」
監「だから、ガブリエルの実在論って結局何だろう、って思う」
S「ポストモダンの枠の中にあるというのはそれほど変でもないだろ」
監「なんとなくね」
S「で、メイヤスーの話の時に、監督が科学的実在論じゃダメなのかなーって言ってたじゃん」
監「言った。でも、なんとなくメイヤスーの言いたいこともわかるけど」
S「言いたいことって」
監「カントの認識論的限界を認めるのだったら、すべてが理由律に縛られる必要はないと」
S「そうだな」
監「だから科学的実在論と言いにくい側面もある」
S「ああなるほど。でも科学って漸近的に真理に近づくもので、常に全部が解明されてはいない」
監「ああそうか。いや、・・・そうなのかなあ。うーん、もう少し考えないと」
S「まあいいや。悩んでくれ」
監「うむ」
S「で、科学的ってことに関してはガブリエルにも言えるわけ」
監「どういうこと」
S「自然科学的発想の優位性みたいのが一般的な常識としてあるけど」
監「ああ、優位性か」
S「そう、ガブルエルの発想だと他のオカルト説と立場が一緒で優位性がないわけ」
監「じゃーガブルエルはダメってことじゃん」
S「て言うより、これからの問題でしょ」
監「ええと、まだまだガブリエルとかメイヤスーの議論は煮詰まっていないから中途半端だと」
S「そういうこと」
監「ではこれからの彼らの議論に期待するということで」
S「両者とも、特に科学的実在論との関わりとか優位性をどう考えるべきか」
監「そして今回はオチはないと」
S「残念ながら。こんな話にオチは要らないだろ」
監「うーむ、困ったもんだ」





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